もう過ぎ去ったことなのだから・・・という言葉の重み

「過去 」「現在」「未来」僕たちは3つのタイムスパンを順序良く越えつつ、時にはトラヴァースしながら、人生をガシガシ運営しているわけで。

「正常」と言われている人たちからすると、もしくはそういう人たちを見ると、過去をきちんと踏み台にして現在を生きていて、きちんとその現在の先には未来がある。
だから、現在をそのまま生きていけば、きちんと未来につながるだろうという無意識的な意識が可視化できない状態で装備されている。

一方で、過去を踏み台にして現在につなげることができない人もいる。というより、たくさんの問題を抱えている人たちの多くが、今現在、過去を生きているのではないだろうか。踏み台にあしをかけて、思いっきりすっ転ぶ。もしくは越えられない。越えようとしない。
だから、そのまま生きるっていうことは、現在を生きているという感じではなくて、過去を生きているっていうことで。順を経て、未来につながる足がかりを作るのに、この人たちは、未来を本当の意味で可視化できない。だってそこにないんだもの。過去にとらわれている。


思い出の破片探し

過去に生きている人は、いわば、その時に起き残してしまった思い出の破片を探るように過去へタイムトラベルをして、過去という現在をを生きている。見つからないこともそれが間違っていることも分かっている。でも、誰も「もういいよ」って言ってくれない。言ってくれても満足できない。血だらけになりながら、無理にタイムスリップをして、もう起き残してきた思い出の破片が何かわからない状態でその時の思いにしがみついている。

「無気力感」「怒り」「悲しみ」「やるせなさ」「イライラ」
その当時、自分が抱えていた想いだけを装備して、ただ、破片を探そうと頑張った結果勇者であろうとした人々は自分が気づかないうちに魔王へと変貌していく。そして、この魔王は、誰かに何かを気づいて欲しく咆哮をあげるのだ。自分が魔王になってしまったことも気づかず、何故、相手に攻撃されるのか理解できないまま、ただひたすらに。


そうだん、だだん、だん、だ、だんだん。

何か相談するという場面において、そう言った過去の物事に対して相談した相手に対して「もう過ぎ去ったことなのだから、頑張って今を生きよう」という慰めやアドバイスをよく耳にする。
だが、本当にそうなのだろうか???アドバイザーにとっては現在から見た過去の出来事だから、確かに過去の出来事なのだ。だが、相談者にとってはそうではないのだ。時間軸がまるっきり違ってしまっている。
なぜなら、彼らにとっての現在とは、今まさに過ぎている時間ではなく、その出来事が起こった時間であり、それは時間軸の上で考えれば、過去なのである。

つまり、その言葉は、その人たちには届かない。こいつは、今までの話をまるっきり聴いちゃいねぇと自分とアドバイザーに対して、エベレストもビックリの高さで、マリアナ海溝よりも暗い深さで、豊臣秀吉のハリボテの城作戦もビックリの速度で壁を作る。

話を聞くということはとても難しい。共感するという事柄も本当はとても難しい。その人の力になるという事は一番難しい。
その魔王は沢山の想いやトラウマや抱え込んだのちに勇者から魔王になってしまった。だが、その魔王を救えるのもまた、他ならぬ人なのである。勇者かもしれない、魔王かもしれない、ただの人かもしれない。だが、紛れもなく他者なのである。
自分が見失った破片について諦める、置き換える。方法はさまざまにあるだろう。
だけれど、その見失った破片に絡みついている想いやトラウマごとロープでぐるぐる巻きにして、苦しみながら、引っこ抜いていくのがその人がもう一度自分の中の想いと向き合っていくために重要なのだ。きっと、ひっこぬけた際には綺麗な庭団子を残してくれる何処ぞの神様に転職してくれるだろう。

もう過ぎ去ったこと。本当に本人がそう思えるまでに、何年、何十年とかかるだろうが、勝ち取ることが割とガチで重要なのである。

ただ、だからと言って現在と未来を犠牲にしてはいけない。過去に生きすぎてはいけない、今もなお、10年間の魔王化と闘っている僕は思うのです。

自分が見失った破片探しは、終わりどころを見つけないと、たくさんの弊害を引き起こします。立ち止まるということは、過ぎていく時の流れをよそに成長するということを諦めてしまうことです。
その当時出来たであろうイベントや成長する機会を自分から覆って見えないようにして、過去だけを見るように差し向けます。ハッと気がついたときには自分だけ置いてけぼりを食ったことに気づくのです。
自分では、そのつもりがなく、相手から見たら、明らかに「なぜそういうことをするのか」という思いに駆られます。理解しようと努めても、あまりにも頑固すぎるために相手も立ち去ってしまうことが多いでしょう。現在と未来を見据えられない人間と話していてもつまらないですからね。

もう、戻ってはこないのです。

もう、思い描いても、手に入れることはできないのです。

あなたは十分頑張ったよ。忘れないでいいから、その過去ごと受け入れるから、あなたもしっかり消化出来るように一緒に生きていこう。

破片が何だったのか思いだして、取り戻そうとしないで、新しく誰かと構築していくのです。ないかわからなくなってしまった破片は時々、もしくは結構頻繁に顔を出すでしょう。自分でも、どうしたらいいのかわからない感情を伴って。
だから、そういう時は、しっかり自分を褒めてあげるのです。けっして、失った時間を数えてはいけない。あなたの過去もしっかり、今につながっているのだ。
はやく、一緒に芽吹きを感じよう。魔王様よ。